白い花束を持って、彼に会いに行きました。
駅に着いた時から同じように花束を持ったたくさんの人。
会場の前には長蛇の列が出来ていて、
寒空の下、彼のためにこれだけの人が集まったのかと思うと、
それだけでもう、泣いてしまいそうでした。
笑ってサヨナラするために、必死に堪えてたのに、
会場に入った瞬間、流れて来た若者のすべてに全部が溢れ出して、
前を歩く人が見えなくなるほど涙が出てきて、嗚咽が止められませんでした。
富士山とギターをかたどった献花の向こうに、イヤにかっこいい彼の写真。
その前には何本かのギターとアンプ。そしてずっと流れ続ける彼の歌声。
周りに響くすすり泣く人の声に、辛いのは私だけじゃないと思うと余計に泣けました。
お昼の部では、最初にメンバーが献花したそうです。
写真の前にはご家族もいらっしゃって、
献花をする方々に、その都度お辞儀されていました。
舞台に溢れんばかりのファンからの献花。本当にものすごい数でした。
そしてギターケースの中に入れられたファンからのメッセージ。
その脇にコーラが置いてあって、ちょっと笑ってしまいました。
ああ、そういえば最後のライブでも「おなかはコーラでいっぱい」って、
お腹ぽんぽん叩いていたなあって。
写真の前に立った時の気持ちは、不思議とぼんやりしてました。
ありがとう。と、それだけは何度も伝えた気がします。
だけど何だろう。言葉では言い表せない気持ちに襲われて、
ただありがとうと言いながら、手を合わせることしか出来ませんでした。
ちゃんとお別れを告げるつもりで行ったのに。
何となく、上手く彼に伝えられなかった気がして、
献花台から離れてもなかなか動けなかった時、流れてきたのはTEENAGER。
図らずも最後のライブとなってしまったイベントで、
彼が最後に歌った曲だと気付いた瞬間に、またせきを切ったように涙が溢れました。
泣くしか出来ないなんてダメだなあ。きちんと伝えたかったのに。
会場を出たところには原田さんがいらっしゃいました。
原田さん初め、関係者のみなさんやご家族やメンバーの気持ちを思うと…
だけど何となく、空の上で彼自身は笑っていたような気がします。
「オレ、やっぱり結構人気あるじゃん」って。
そんなところが憎めなくてかわいらしくて、変態で大好きでした。
もちろん私だけじゃない。並ぶ人の列を見て改めて確信しました。
本当に、ものすごくたくさんの人に愛された人なのだと思います。
最後に、チケットとポストカードをもらいました。
チケットには日時と会場名。
本当のライブのチケットのようなそれに、また涙。
私が今まで行ったライブのチケットの中で、
最高に悲しくて最高に涙腺を刺激する、最強のチケットになりました。
出来ることなら私が死ぬまで、もう二度とこういうチケットは手にしたくない。
だけど、もう二度と手にしたくないチケットだけど、
きっと私は死ぬまで、このチケットを大切にするのだろうと思います。
彼はもうこの世にはいてくれないし、あの歌う姿を二度と見ることも出来ないんだけど、
この先もずっとずっと、彼の残してくれた音楽を好きでいるんだろうなあ。
それだけは、自信を持って言えます。
結局最後まで、サヨナラとは言えませんでした。
だけどその代わりに、たくさんの大好きとありがとうを言った気がします。
今もまだ、目は腫れたままだし、DVD見ては涙が溢れるし、
曲を聴くたびに胸が痛くなるのは続くんだろうけど、
それでも今日のこの日があったから、前を向く力をもらえたのだと思います。
こんな機会を作ってくれたメンバー、関係者のみなさん、本当にありがとうございました。
それから今日、彼に会いに行けたことに心から感謝します。
彼の音楽に出会わせてくれた奇跡にも、本当に本当にありがとうと伝えたい。
そして天国にいる彼に。
ありがとう。
大好きでした。
今までも、そしてこれからもずっと。
いつかまた、会える日まで。
2010年1月21日 はち